株式会社 恵那川上屋 鎌田社長【後編】

デザインの力 社長インタビュー

2019.09.28

大事なのはデザインすることではなく、デザインまでのプロセス。恵那栗ブランド化から見るデザイナーの役割

 

 

 

前編でキーワードとして出てきた「恵那栗」。

恵那川上屋で使われている「恵那栗」とは、厳しい栽培・出荷条件を満たした「超特選恵那栗」のことを指します。

ブランド化を1から始め「恵那といえば、栗だよね」と言われるまでにはどのようなプロセスがあったのか。
後編では、恵那栗のブランド化、その背景にあったデザイナーの存在を考えていきます。

 

 

 

 

ー前編では恵那栗ブランド化が始まるまでのお話を伺いました。

 

鎌田社長:恵那栗のブランド化をする上で重要だったことは、まずは農家に自信を付けてもらうこと。
「これ良くないけど使ってくれよ」じゃなくて「絶対美味しいから食べて」って言ってもらうくらいにしたかったんです。

もちろん、プロモーションをすることも農家に自信をつけさせることも、全て目的は恵那栗のブランド化です。

ただ、僕たちの仕事はお菓子を開発して作っていくこと。ブランド化ではありません。

そう考えた時、ブランド化は僕じゃできないので、プロに任せようと思ったんですね。

 

 

ー恵那栗ブランド化の背景には、農家の方や恵那川上屋の方だけでなく、様々な人が関わっていたんですね。

 

鎌田社長:僕はお菓子しか作れないですし、お菓子を作る人はお菓子作ればいいわけです。

そこにデザインをしたりコピーを乗っけたりする人がいて、初めて形になります。

 

 

 

 

 

今はインターネットがあるので色々なかたちでつながりやすくなったけど、当時はデザイナーとコピーライターは、田舎にはあまりいませんでした。
たまたま、地元の恵那でデザイン事務所をやっていた、小板社長を中心にコピーライターもデザイナーもカメラマンも、みんな一緒にやってくれたのでブランド化に向けて進むことができました。

 

最近では、いろんなところで「恵那から来ました」っていうと「ああ、栗ね!」って言われるようになったんです。
20数年間、ひたすら恵那・恵那って言い続けて、やっとなんとなく認知されるようになったと思いますね。

やっぱり、地元の人が都市部に持っていってくれるのが一番の営業なんです。

ー体感としても、ブランド化の効果が出て来ているんですね。

 

 

一番最初に渋谷で売った時は、1日に5万円しか売れませんでした。

でも、あれから20年以上経ってから、また春に「もう1回やらせてもらえませんか」といってまた東京で売ったんです。

そうしたら、1日に40万円売れて、秋にやったら100万円超えたんです。もう、ガン泣きしましたよ。

 

全部地元の人たちが運んでくれたんですね。
その時に、本当の意味での「地元が認めるブランド」に育って来たんだなと感じました。

 

 

 

 

 

ーブランドを育てる上で「デザイナー」はどんな存在だと思いますか?

 

鎌田社長:デザイナーは「田舎から発信する風」のために必要な存在だと思います。

よく、まちには「よそ者、若者、馬鹿者」って言うけど、田舎でやるならその土地の年を重ねた人達が重要です。
年上の人達は、生きてきた経験とアイディアが豊富なんですね。

 

小板:ただ、そういった地元からの風は目には見えません。これを形にするのが、デザイナーやコピーライターの存在だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー最後に、恵那川上屋にとっての、デザインや、ゼロワンカンパニーについて教えてください。

 

鎌田社長:僕がずっと目指しているのは「らしさ」。らしさが表現できるには?と未だに模索しています。

そのためにいろんなブランドを作ってみたり、ブランドを作るときも一人じゃ考えられないからゼロワンカンパニーに行くしかないんです。

でも、お客さん目線で見た時に「伝えられることは何か」を考えながらカタチにするには、デザイナーやコピーライターの居るデザイン事務所は必要な存在です。

デザインすることが仕事なのではなく、デザインにたどり着くまでのプロセスが重要だと思いますね。

 

小板:そこは僕としても強調したいところです。
今はインターネットに色んなサービスがあるので、デザインだけやれる人はけっこういるんです。

 

 

ただ、デザインをする前にそもそも「どうすればいいかわからない」と言う人は多いですし、そこからデザイン事務所が入らないと、的確な答えは出て来ません。物を作るのではなく、パートナー的にやっていきたいですね。

鎌田社長:恵那栗自体もまだまだですが、20年以上かけてコツコツやるしかないんです。

 

小板:地道にやっていくことが大切ですね。

 

鎌田社長:評価が簡単に上がることがあったとしても、それは下がるのもすごく早いものです。
チラシを1回打ったからドンと結果が出るわけではなくて、それはあくまでプロセスとして捉えて、コツコツやっていくものだと思いますね。

 

 

ーデザイナーとは、デザインだけをする人ではなく、継続的にブランドを作っていく人なんですね。

 

お二人とも、ありがとうございました!

 

 

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